Japanese
English
症例報告
Slit ventricle syndromeを呈し,リハビリテーションに難渋した脳卒中後患者の1例
Rehabilitation in a stroke patient with slit ventricle syndrome, case study
小林 直子
1
,
大田 哲生
1
,
木村 彰男
1
,
正門 由久
1
,
長谷 公隆
1
,
佐古 めぐみ
1
,
小宗 陽子
1
,
西脇 香織
1
,
千野 直一
1
,
内田 耕一
2
Naoko Kobayashi
1
,
Te-tsuo Ota
1
,
Akio Kimura
1
,
Yoshihisa Masakado
1
,
Kimitaka Hase
1
,
Megumi Sako
1
,
Yoko Komune
1
,
Kaori Nishiwaki
1
,
Naoichi Chino
1
,
Koichi Uchida
2
1慶應大学医学部リハビリテーション医学教室
2慶應大学医学部外科教室・脳神経外科
1Department Physical Medicine and Rehabilitation, Keio University School of Medicine
2Department of Neurosurgery, Keio University School of Medicine
キーワード:
Slit ventricle syndrome
,
水頭症
,
シャント合併症
Keyword:
Slit ventricle syndrome
,
水頭症
,
シャント合併症
pp.367-370
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100565
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はじめに
Slit ventricle syndrome(以下,SVS)は,シャント機能不全,シャントの感染と共に水頭症における短絡術後の合併症の一つである.これはシャントの機能亢進により脳室が正常以下に狭小化し,スリット状になったために,カテーテルの閉塞,再開を起こした結果,その後の脳脊髄圧のわずかな上昇でも嘔気,嘔吐,頭痛等の水頭症の症状をきたす状態1)である.多くの患者では脳室のコンプライアンスが極度に低下しており,このことがさらに水頭症症状を増悪させる.短絡術後患者の3~5%に脳室がスリット状になる例が出現し,このうちの約3分の1でSVSをきたし,小児において起こりやすい1)とされている.
今回,われわれは髄膜炎後SVSを呈し,シャントバルブ交換による脳脊髄圧再調節を行ったものの,リハビリテーションに難渋した症例を経験したので報告する.本症例においてはSVSに髄液排出過剰のため,脳室がスリット状を呈し,それに伴うシャント機能不全や硬膜下血腫を含めた広義の解釈を適応した.
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