Japanese
English
症例報告
Slit Ventricle Syndromeに対し座位時間制限により症状の改善をみた1症例
A Case of Slit Ventricle Syndrome: Improvement by the Limitation of a Sitting-up Period.
鈴木 康子
1
,
鈴木 英二
1
,
時津 学
2
,
佐々木 和人
1
,
永井 勝信
1
,
荻野 雅史
1
,
真壁 澄江
1
,
福本 英子
1
,
山平 由布子
1
Yasuko Suzuki
1
,
Eiji Suzuki
1
,
Manabu Tokitsu
2
,
Kazuhito Sasaki
1
,
Katsunobu Nagai
1
,
Masafumi Ogino
1
,
Sumie Makabe
1
,
Hideko Fukumoto
1
,
Yuuko Yamahira
1
1ナトメック七里病院リハビリテーション科
2ナトメック七里病院脳神経外科
1Department of Rehabilitation Medicine, Natomekku Nanasato Hospital
2Department of Neurosurgery, Natomekku Nanasato Hospital
キーワード:
水頭症
,
Slit Ventricle Syndrome
Keyword:
水頭症
,
Slit Ventricle Syndrome
pp.191-194
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109169
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はじめに
正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus;NPH)はHakinとAdamsにより提唱された概念で,痴呆,歩行障害,尿失禁を3大徴候とする.NPHは治療可能な脳障害といわれており,外科的治療として脳室―腹腔短絡術,腰椎くも膜下腔―腹腔短絡術などの髄液短絡術が行われている1,2).しかし,術後に脳室が極端に縮小してslit状となり,脳室は拡大しないのにもかかわらず著明な頭蓋内圧亢進症状を呈することがある(slit ventricle syndrome)3).Hyde-Rowanら4)はslit ventricle syndromeを,1)間欠的または慢性の頭痛が脳室側カテーテルの時折の閉塞によって生じる,2)CTや脳室造影では脳室は縮小したままである,3)shuntバルブを押すとゆっくり戻る,をtriadするものと定義した.具体的な症状としては,意識障害,頭痛,嘔吐等である.
Slit ventricle syndromeに対する治療法としては,shunt抜去,shunt valveの高圧化などがある.近年では,anti-siphon valveの使用,圧可変式バルブの使用等の効果が報告されている5).
今回,われわれは,頭部外傷後,正常圧水頭症を起こし,shunt機能不全に対してshunt入れ替え術を数回繰り返して施行された後,本院へ転院したところ,今度は逆にslit ventricle syndromeを呈して,意識障害,歩行能力などの低下した症例を経験した.これに対し,座位時間の制限をすることで,症状の改善がみられたので報告する.
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