Japanese
English
症例報告
ベルト型吊り具により腕神経叢麻痺をきたした1症例
A case report:brachial plexus palsy by the belt-type sling during the use of lifter.
鈴木 幹次郎
1
,
高橋 秀寿
1
,
阿部 玲音
1
,
小宗 陽子
1
,
菊池 隆一郎
1
,
木村 彰男
2
,
千野 直一
3
Kanjiro Suzuki
1
,
Hidetoshi Takahashi
1
,
Reon Abe
1
,
Yoko Komune
1
,
Ryuichiro Kikuchi
1
,
Akio Kimura
2
,
Naoichi Chino
3
1国立療養所村山病院リハビリテーション科
2慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
3慶應義塾大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, National Murayama Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, National Murayama Hospital
3Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
ベルト型吊り具
,
リフター
,
在宅障害者
,
腕神経叢麻痺
Keyword:
ベルト型吊り具
,
リフター
,
在宅障害者
,
腕神経叢麻痺
pp.1063-1067
発行日 2003年11月10日
Published Date 2003/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100927
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はじめに
近年,さまざまな福祉機器が使用されるようになってきたが,これらを導入する際には,患者やその周囲の環境に適合したものを選択し,正しく使用することが必要である.また,障害者が自立生活を送る際には,医療従事者は,その能力を的確に把握し,不測の事態に備え,十分な準備をする必要がある.
福祉機器のなかでも,移乗動作能力が低下した脊髄損傷,脳性麻痺,脳卒中患者などでは,介護者が患者を持ち上げることが困難となり,リフターおよび吊り具を使用することが多い.この際,吊り具の身体への装着の不備による,転落や転倒の危険性がある.また,吊り具のベルトによる腋窩の圧迫のために,腕神経叢麻痺や上肢の循環障害を引き起こす危険性もある.
今回われわれは,天井走行式のリフターを用いて,介助者なしに移乗を行っていた一人暮らしの脳性麻痺患者で,ベルト型の吊り具に長時間宙吊りとなり,両腋窩が圧迫された状態で一晩を過ごし,重度な腕神経叢麻痺をきたした症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.
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