限局性ミオパチーによるdropped head syndrome（頭頸部下垂症候群）の1症例

Dropped head syndrome (isolated neck extensor myopathy): A case report.

はじめに

　安静時に頭頸部が下垂している，いわゆる「首下がり（dropped head）」という症候は本邦でも数多くの症例が報告されている¹⁾．1992年，Suarez and Kellyは頸部伸展筋に比較的限局した筋力低下を示し，dropped headを来す非炎症性ミオパチーの4症例を報告し，dropped head syndromeと名付けた^2，3)．その後1996年に，Katzらは，臨床的にdropped headを来す疾患の鑑別診断を行い，既知の神経筋疾患には属さない頸部伸展筋に限局したミオパチーの4例を報告し，isolated neck extensor myopathy（以下，INEM）という疾患概念を提唱した^4，5)．われわれは，dropped headを呈し，INEMによると考えられる1症例を経験し，リハビリテーションの機会を得たので，若干の考察とともに報告する．