一頁講座 日本全国,こだわりの住宅改造
立ち上がりに対する改造で自宅復帰可能に―座面モデル作製
影近 謙治
1
1市立砺波総合病院リハビリテーション科
キーワード:
住宅改造
,
頸髄損傷
,
異所性骨化
,
立ち上がり
,
便座
Keyword:
住宅改造
,
頸髄損傷
,
異所性骨化
,
立ち上がり
,
便座
pp.1168-1169
発行日 2005年12月10日
Published Date 2005/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100237
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- 文献概要
頸髄損傷による四肢麻痺と異所性骨化のため,股関節が屈曲できず,寝たきりの患者に対して,立ち上がりが可能となる座面モデルを作成して車椅子座面や便座,椅子,ベッドなどを改造することで,一人で起き上がりが可能となり,在宅でのADLが自立したので,その工夫を紹介する.
事 例
患者は66歳,男性,頸髄損傷による四肢不全麻痺で,ASIA impairment scale Dである.頸椎後縦靱帯骨化症(C2-6)による脊柱の可動域制限と左股関節周囲筋の広範な異所性骨化のため,股関節は20度しか屈曲できなかった.この可動域制限のため起き上がりや移乗動作ができず,寝たきり状態で紹介入院となった.ADLは,食事が自助具を使用して可能な以外は,起居,移動,排泄,更衣などすべてに介助を要した.しかし,立ってしまえば平行棒内の歩行が可能であったため,立ち上がりさえできればADLの自立度を改善させ,自宅復帰が可能であると評価した.手術を行えば可動域制限は改善され,座位保持は可能となるが,広範に股関節周囲筋が切除され歩行不能となるため,行わない方針で自宅復帰を考えた.
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