立ち上がりの可否と下肢筋力の関連―高齢入院患者における検討

The relationship between strength in the lower extremity and the ability to stand up from a chair in elderly inpatients.

はじめに

　立ち上がりは，日常生活において頻回に行われる動作の一つである．先行研究では，その規定要因として下肢筋力の重要性が報告^1，2)されているが，立ち上がり動作が障害される下肢筋力水準について，具体的な数値は明らかとなっていない．市販の椅子，標準型車椅子，洋式便座の多くは，座面高が40cm程度に設定されており^3，4)，この高さからの立ち上がりの可否は，制限のない移乗動作自立のうえで重要な課題と考えられる．

　そこで，今回われわれは，座面高40cmからの立ち上がりを取り上げ，65歳以上の高齢入院患者を対象に，立ち上がりの可否と下肢筋力の関係を検討したので報告する．