Japanese
English
特集 脳卒中治療ガイドラインとリハビリテーション
エビデンスをつくる臨床研究
Clinical research for constructing clinical evidence.
後藤 雅史
1
,
川村 孝
1
Masashi Goto
1
,
Takashi Kawamura
1
1京都大学保健管理センター
1Kyoto University Health Service
キーワード:
エビデンス
,
EBM
,
臨床研究
Keyword:
エビデンス
,
EBM
,
臨床研究
pp.1113-1118
発行日 2005年12月10日
Published Date 2005/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100226
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はじめに
高性能コンピュータが比較的安価となり,データベース化された医学文献に多くの医師が迅速かつ容易にアクセスすることができるようになった1990年代より,医療界では,科学的根拠に基づいた医療(evidence-based medicine;EBM)がさかんにとりざたされるようになった.現在,わが国にもその言葉は浸透し根付きつつある.これに対して,経験主義的要素が強いと言われている理学療法の分野において,その普及は一歩遅れをとっている感が否めない.
しかしながら,理学療法の分野における臨床研究の数は,過去数年間で飛躍的に増加している.理学療法に関する科学的根拠を集めたデータベース(The Physiotherapy Evidence Database;PEDro)のウェブ上での公開も1999年に始まり,すでに3,500篇以上の無作為化対照試験と600篇以上の系統的レビューが収録されている.これらの事実は,この分野におけるエビデンスの蓄積とそれに基づいた医療の普及,浸透への気運を感じさせるものである.
理学療法に関するエビデンスの作成には,そのほかの分野にはない特有の困難が存在する.例えば,治療目標が機能の獲得のみならず安定性や安全性など多様である点や,介入を定量化することが難しい点などである.しかし,臨床に直接役立つエビデンスは臨床の現場から生まれるものである.これらの問題解決へ向けて,今後,積極的な取り組みがなされることが期待される.
本稿では,その一助として日常業務のなかで科学的な研究を行う手順を整理した.
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