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編集後記
鶴見 隆正
pp.992
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200700
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世間を震撼させた神奈川県相模原市の障害者施設での殺傷事件は,インクルーシブな共生社会の実現に向けた課題をいま一度整理する必要性を感じさせます.「重度障害者は安楽死させるべきだ,不幸をつくる」という優生思想を思い起こさせるような容疑者の発言には憤りを覚えますが,リハビリテーションの理念,国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)をベースに日々の実践に取り組む理学療法士界が「障害のある人とともに明日の社会を創る」という想いで地道に共生社会を築く努力を続けることが犠牲となった方々に報いることになると思います.
さて,今月号の特集は「生活支援につなぐ小児理学療法」です.30数年前,私が新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)での早期理学療法にかかわっていた頃,「元気に育ってほしい」という祈るような母親の心の叫びをいつも背中に感じていました.それだけに児の生育ステージに寄り添った家族支援を第一にしようと強く思い,統合保育のために役場担当者と折衝したり,入園が許可された際には園生活の指導に出向いたり,さらに小学校入学では市の教育委員会と話し合ったり,就学願いの手紙をしたためたことが思い出されます.
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