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編集後記
鶴見 隆正
pp.804
発行日 2006年9月15日
Published Date 2006/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102562
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7月下旬に埼玉県内で発生した痛ましいプール死亡事故は,プールの安全管理を再考するきっかけとなった.安全管理すべき市役所はプール管理を委託下請けに,監視員はアルバイトで安全研修も実施していない,所轄省庁は定型的な安全管理の通達を送付するのみで,その安全実施の確認は行っていなかった,との報道に愕然とした.「誰かが安全を確認しているだろう」という思い込みの連鎖が事故に繋がったと思う.まさにプールサイドから行政機関までの領域において安全第一とした連携は存在していなかったといえる.
さて本特集は「理学療法と連携」である.本来,医学的リハビリテーションは,リハビリテーションの理念をもとに,各専門家が継続性のあるチームアプローチを重ねてきた領域であるが,昨今の医療制度,介護保険制度の改正で,医療から在宅生活支援までを包括した連携構築が一段と強く求められている.しかしながら,在宅生活に向けた連携となれば地域支援スタッフは多様であるだけに,その調整力がポイントとなる.ややもすれば医療側からの一方向のアプローチに陥ったり,受け手側である地域支援スタッフが求めるものと乖離していたりして,まだ理想的な双方向性の地域・医療連携の形は完成しているとは言いがたい.
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