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編集後記
鶴見 隆正
pp.1032
発行日 2005年11月15日
Published Date 2005/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102527
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わが国の精神障害者総数は258万人(平成14年調査)で,このうち入院患者は33万人とされていますが,彼らへの医療,社会支援体制はまだ十分に整備されているとは言い難い状態です.精神障害のリハビリテーションはこれまで作業療法士が中心的な役割を担ってきましたが,患者の高齢化にともなう身体機能障害や地域生活支援に対する理学療法士の積極的な取り組みが求められています.そこで本号では,精神障害領域における理学療法アプローチの現状とこれから取り組むべき方向性に焦点をあて企画をしました.
野中氏には,精神障害をもつ人のリハビリテーションの現状と課題について,精神保健法改正の動向,最新の薬物療法から認知行動理論など幅広く解説していただきました.そのなかで理学療法士が患者・家族と協働的な支援をするには,狭い理学療法観ではなく,心身機能と生活機能を個別的に捉えたマネジメントの必要性のほかに,専門職,家族の「内なる偏見」を無くすことを強調されています.仙波氏には,統合失調症の理学療法アプローチについて解説していただきました.膨大な自験例のADL分析,問題となる精神症状,理学療法アウトカムなどを統計的に検討され,精神症状の分類別の目標設定,理学療法プログラムのガイドラインを提示しています.豊富な臨床体験に裏打ちされたものだけに参考となります.
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