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編集後記
鶴見 隆正
pp.526
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105848
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今月号の特集は「脊髄損傷」です.対麻痺者の理学療法には,理学療法の草創期から先人たちが積極的に取り組まれ,松葉杖による転倒練習,平行棒内でのジャックナイフとプッシュアップを上手く利用した立位バランス,小振り歩行から大振り歩行,或いは自動車への移乗練習など長下肢装具を用いた段階的な手技はすでに定着しています.このように,脊髄損傷者の立位・歩行練習はこれまで臨床現場や理学療法教育においても大きなウエイトを占めてきましたが,近年,腰椎レベルの脊髄損傷者の移動能力を安易に車いすレベルに設定する傾向がみられます.この背景には脊髄損傷者の実生活の機能レペルを考慮し,且つ入院期間の短縮化と相まって,実用性が乏しく獲得するまでに時間を要する歩行練習を避け,車いすレベルの早期社会復帰を目指したプログラムが優先的に実施されるためと考えられます.
しかし,突然対麻痺という大きな障害を余儀なくされた人の多くは「もう一度,この二本の足で立ちたい,歩きたい」という願望を秘めながら,車いす生活自立に向けた理学療法に努力を重ねていることは否めません.近年,彼らの心理的ニーズに応えるべく下肢装具の開発が行われ,歩行再獲得が試みられています.そこで本号では,脊髄損傷の新しい機構の下肢装具に焦点を当てました.
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