特集 認知症へのアプローチ
認知症高齢者への心理・社会的アプローチ―回想法を中心として
野村 豊子
1
Nomura Toyoko
1
1岩手県立大学社会福祉学部
pp.521-528
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100347
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はじめに
認知症高齢者への心理・社会的アプローチは,1950年代にリアリティ・オリエンテーション(以下,RO),1960年代には,五感刺激法や回想法,また1970年代には,現在提示されている方法(音楽療法,記憶力訓練法,バリデーション療法,リゾリューション療法,モンテッソーリ療法など)が開発されてきた.これらの方法は米国精神医学ガイドラインによれば,行動に焦点を当てる行動療法的アプローチ,感情に焦点を当てる回想法やバリデーション療法,認知に焦点を当てるRO,刺激に焦点を当てる各種の芸術療法という4者に分類されている1).さらに,これらの心理・社会的アプローチの意義は,①認知機能障害の改善,②情動機能の改善,③BPSD(認知症の行動心理学的症状)の軽減に加えて,④包括的QOLの向上が挙げられる.現在,日本において展開されている認知症高齢者への心理・社会的アプローチは,療法としての活用のみならず,介護予防におけるプログラムやレクリエーション,アクティビティの領域で応用され,広範に用いられ始めている.本稿では心理・社会的アプローチの中から,回想法に関し,意義,方法,効果,実施の留意点について述べる.
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