Japanese
English
講座 言語聴覚障害学―理論と臨床―
3.失語症治療の心理社会的アプローチ
Psychosocial Approaches of Aphasia Therapy.
本多 留実
1
,
長谷川 純
1
,
吉畑 博代
1
Rumi Honda
1
,
Jun Hasegawa
1
,
Hiroyo Yoshihata
1
1広島県立保健福祉短期大学言語聴覚療法学科
1Department of Communication Disorders, Hiroshima Prefectural College of Health and Welfare
キーワード:
失語症
,
心理社会的アプローチ
,
長期的支援
Keyword:
失語症
,
心理社会的アプローチ
,
長期的支援
pp.837-842
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109052
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はじめに
言語は人が他者や社会と関わるための中心的な手段であり,その障害である失語症は本人・家族ならびに周囲の人たちの心理社会的側面に重大な影響を及ぼす.
失語症により生じる心理社会的な問題を模式的に表すと図1のようになる.失語症は本人と家族,社会との間のコミュニケーション(矢印の部分)を障害し,その結果,本人,配偶者をはじめとする個々の家族,そしてまとまりとしての家族にさまざまな問題をもたらす.
こうした問題に対して,図2のようにいろいろな側面への働きかけが試みられてきている.これらは,1)カウンセリングなどにより失語症者本人や家族の抱える心理社会的問題に直接働きかけようとする直接的援助と,2)失語症者本人と家族や社会との間のコミュニケーションの回復を図ることにより,心理社会的問題を軽減させようとするコミュニケーション援助に大別できる.さらに近年では,地域に置かれた失語症センターを拠点に,地域社会に対する啓発活動も加えた地域ベースの支援プログラムも報告されるようになってきている.
本稿では,失語症がもたらす心理社会的な問題へのアプローチについて,さまざまな実践の報告を参照しながら概観する.
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