特集 認知症へのアプローチ
認知症者への看護アプローチ
高山 成子
1
Takayama Shigeko
1
1県立広島大学看護学科
pp.513-519
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100346
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看護は,患者さん本人だけでなく家族や地域に対して,直接的に,教育的に,マネージメント的にアプローチするものである.本稿では,認知症高齢者の生活援助について焦点を当てる.看護アプローチは,彼らの日常生活をより安全で快適に,できるだけ自力での生活を維持し,その人らしく暮らせるよう援助するものである.この目標は,生活援助を行う介護専門職とも共有するものであるが,看護アプローチ特有の視点について,入浴に関する拒否行動や攻撃行動に関する場面の紹介と調査結果のまとめから述べる.
認知症高齢者の行動の意味について,生活の流れの中で彼らの視点から理解して援助する
認知症の中核症状は記憶障害であり,コミュニケーション障害も来す.記憶障害といっても,患者さんは単語を記憶できなくて困っているわけではなく,排泄や食事,入浴など,生活に不都合を来す記憶障害で困っているのである.また,彼らは,いつでもすべての行動について記憶できないわけではなく,常に気持ちを伝えられないわけでもない.認知症が進行しても,困った時に気持ちや理由を表すことができ,彼らなりに対処する力も有している.そして,それはすべて行動として現れる.
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