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あとがき
坂本 穆彦
pp.1726
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102200
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筆者は現在,日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会による三学会共編の『泌尿器科・病理 前立腺癌取扱い規約』第4版(金原出版)の病理編担当の委員長として,ほかの5名の病理系委員とともに,来年刊行を目指した改訂作業を進めているところである.約10年ぶりの改訂だが,前世紀末に比べても,前立腺癌の診断・治療には大きな変化がみられる.
前立腺癌の最終検査である針生検組織診は今日では十数片ないし20片程度の検体採取が行われる.つまり,その片数分だけ繰り返し前立腺に針が穿されるわけである.筆者はすでに前立腺癌“適齢期”に突入して久しいが,これまで何となくPSA検査を敬遠してきた.しかし,今年は一念発起して検査を受けたところ,値は低く,胸をなでおろしたところである.この安堵感には,ただ単に癌ないしその可能性の宣告を免れることができたということのほかに,あの生検をとりあえず逃れることができたという気持ちも含まれている.しかし,このPSA測定はこれからも適当な間隔をおいて受け続けることになるが,検査結果を待つたびごとに同じ思いをしなければならないのかと思うと気が重くなる.ところで10年ほど前は“6箇所生検”といって,6片の組織を採取するのが一般的であり,それでも随分,採取片の数が多い大変な検査だと思っていたが,現在は前述の様にその2~3倍の片数が採取される.時代とともに侵襲性を増し,患者の苦痛度が高まるとは,検査としては珍しい部類に属するのではないだろうか.
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