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あとがき
坂本 穆彦
pp.1068
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101712
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環境をめぐる諸問題は,いまや全世界的に注目をあつめるテーマとなりました.アスベストは昨今の社会情勢のなかでは,環境汚染の元凶の一つとして悪役リストに入れられています.アスベストは,往時はその耐熱性が評価され,学校の理科の実験では必須アイテムである網の中央部の白い円形物として縁の下の力持ちをになうなどの活躍をしていたのに,時代の流れとともに今のような位置づけになってしまいました.
医学書によれば,病気の原因は,物理的・化学的・生物学的な諸因子に分けられると説明されています.アスベストは,胸膜などの中皮腫や肺癌の原因と考えられるようになりました.では,鉱物であるアスベストは病因としては“物理的”に入れられるのでしょうか.それとも“化学的”に割り振られるのでしょうか.アスベストのもつどの特性が発癌に関与しているかが問われるところです.
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