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あとがき
坂本 穆彦
pp.122
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101289
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わが国の乳癌に関する歴史を遡ると,江戸時代の華岡青洲(1760~1835年)にゆきつく.青洲は世界に先がけて全身麻酔薬“通仙散”を完成し,それを用いて1804年に60歳女性患者の進行性乳癌の手術を行った外科医として知られている.
現在の紀の川市(和歌山県)に「華岡青洲の里・歴史館」があり,青洲が診療を行い,弟子を指導した建物がきれいに再現され,公開されている.その当時の乳癌手術が,民家の普通の部屋で行われた実態がよくわかる.現在では清潔な産院の病室で行われる分娩が,かつては妊婦の自宅に助産婦が出向いて出産を介助し,家人がわかした金だらいの湯の中で新生児が産声をあげていたということを想起すれば,青洲の行った手術時の光景がリアルに体験できる.
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