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あとがき
遠藤 格
pp.1520-1520
発行日 2017年12月20日
Published Date 2017/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211895
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今回の特集では,胆道癌治療の最前線について様々な視点から記述していただいた.いかにこの領域において未解決のクリニカルクエスチョンが多く残されているかということが示された.内視鏡的ドレナージ術の大きな進歩もみられるが,とにかくまだまだ胆道癌の治療成績は不十分である.
胆道癌よりも治療成績が悪い癌腫である膵癌に目を向けてみると,近年の治療成績の改善には目をみはるものがある.その原動力は新規抗がん剤の開発が進んだことと,エビデンスの創生(多施設共同研究の成果)が着実に行われたことによる.例えばFOLFIRINOXやGnP療法の登場であり,JASPAC01試験による術後S-1治療である.JASPAC01以外は海外からのエビデンスである.言い換えると,膵癌はグローバルな腫瘍であり,世界中で多くの患者が苦しみ,製薬企業が注力していることを意味する.それに引きかえ胆道癌の化学療法はあまり変化がない.以前から胆道癌はアジアに多い癌腫と言われてきたが,残念ながら胆道癌の化学療法のエビデンスは欧米からもたらされることが多い.ABC02試験(切除不能胆道癌に対するGC療法)しかり,今年のASCOで胆道癌の術後補助療法の予後改善効果を示したBilCap試験しかりである.
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