医療経営の総合的「質」の検討・14
顧客志向のための品質機能展開
赤尾 洋二
1
1朝日大学大学院経営学研究科
pp.158-161
発行日 2002年2月1日
Published Date 2002/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903482
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最近,医療事故問題がクローズアップされ,社会の関心も高まっているが,一般企業においても品質問題が多発しており,もう一度原点に戻って品質そのものを見直していかねばならない.品質管理運動の一貫として,古くからQC (quality cont rol)サークル活動が医療においても一部では導入されていたが,本格的活動には至っていなかった.先駆的な病院では既にTQM (total quality management)の導入による「医療の質の改善活動」が推進されており,戦後一般製造業が品質管理を導入し,品質向上を目指した熱意を彷彿させるものがある.この活動により医療事故が撲滅され,安心して適切な医療サービスが受けられるようになることを期待したい.
品質管理の原点は顧客志向である.初期の品質管理の著書をひもといても,その定義として「顧客の満足する製品を経済的に生産すること」が謳われている.昨今CS (customer sa—tisfaction;顧客満足)経営が叫ばれているが,それは日本の製造業が上記をまじめに実践し,一時日本が欧米を凌駕して,その技術移転や日本のデミング賞からマルコム・ボルドリッジ賞が生まれ,さらにそれが逆移転されたものによるといってよい.ここで紹介する品質機能展開(quali—ty function deployment;QFD)1)は顧客志向のアプローチである.製造業と医療にはそれぞれ特徴があり,その性格は異なるが,顧客志向に立つべきことは共通であり,このような観点から「医療の質と質管理」の考え方を述べる.
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