連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第88回
精神病院の新しい流れ
精神病院の新しい流れ/浅香山病院A館―使ってみてひと言/あさかホスピタルA棟―使ってみてひと言
河口 豊
1
,
辻野 純徳
2
,
髙橋 明
3
,
鈴木 慶治
4
,
佐久間 啓
5
1広島国際大学医療福祉学部医療経営学科
2有限会社ユー・アール
3財団法人浅香山病院
4株式会社共同建築設計事務所設計部
5あさかホスピタル
pp.162-168
発行日 2002年2月1日
Published Date 2002/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903483
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主として若手病院長や医師の間で危機感が満ち始めたのはここ10年くらいであろうか.特に精神病院医療が一部の患者をともすれば治療できなくてもともと,治療できたら幸運と考えるような風潮から,患者全員を治療対象者として受け止め,精神病院に新しい治療主義を次第に展開し始めた,といっては言い過ぎかもしれない.しかし,治療すべき対象者として患者を診る,患者から医療サービスの利用者(consumer)へと認識を変えるということが確かに起こりつつあり,全国的に広がっているといってよい.ここで精神医療体制を整えなければ一般医療と決定的な差が生じてしまう,との危機感である.
一般医療よりもさらに濃いパターナリズムに覆われていたが,法改正などとともに,また患者中心の声の高まりとともに,インフォームド・コンセントに戸惑いながらも患者の個々人に向き合いつつある.財団法人日本医療機能評価機構の領域別調査項目をクリアした認定施設が増加していることが何よりの証拠であろう.
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