けんさアラカルト
品質と品質管理
久米 均
1
1東京大学工学部反応化学科
pp.828
発行日 1991年9月1日
Published Date 1991/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900805
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工業においては当初,品質の規準は製品およびサービスが規格に合致していることであった.すなわち,
品質:規格に対する合致度
とされたのである.しかしこの概念は,現在の品質管理では品質概念のごく一部の内容にしかすぎない.製品およびサービスの品質の良し悪しを定める一般的規準は,規格ではなくそれらが顧客の要求に合致しているかどうかである.すなわち,
品質:要求に対する合致度
である.製品またはサービスを提供する活動は,顧客があって初めて成立するものであり,顧客の要求に対する合致を得て,初めてその活動は有効なものとなる.要求に合わないものは不良であり,これを生産,販売,提供することは,それ自体ロスである.この考えかたは特に工業だけのものではなく,他の分野にも適用することができるし,適用すべきである.
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