特集 デフレ下における病院
医療のデフレ下における対策
顧客管理(コールセンターの開設)
神野 正博
1
1特定・特別医療法人財団董仙会恵寿総合病院
pp.124-126
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100560
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世の中デフレの時代だ.物の値段が下がり,給与所得も下がろうとしている.また,診療報酬改定でわれわれ医療機関の収入もデフレ基調となった.
100円ショップや衣料品,電化製品などデフレを引っ張ってきたものは,いずれも海外の安い労働力をはじめとしたコスト削減と画一的大量生産によるものであった.一方,ハイクオリティを標榜するホテルやブランドショップは,依然として高い値段をとりデフレとは無縁の状態である.五つ星ホテルは,徹底した個別対応によって顧客の満足を追求し,ブランドショップもまた高級感と希少性とともに,質での安心感で顧客に迫っているのである.
顧客は医療においても,大量生産と画一的なサービスを求めるのであろうか? ここで受益者にとっての医療費は自己負担増という「値上がり」=インフレベクトルがかかっていることを忘れてはならない.したがって,受益者は高コストに見合う個別対応とブランドを求めているものと考えなければならないだろう.医療は今後は個人の特質に合わせたテーラーメイド医療へと向かうという.ただ,その前に個人のニーズに応え,それを満足感に変えていくという個別の対応が求められ,それこそが患者にとっての「医療の質」の大きな要素を占めるように思われてならない.
個への対応・質の確保を求められる一方での医療機関にとっての医療費デフレ,この二律背反の中で,いかに対応していくか….われわれは今まで以上に知恵を絞らなくてはならない時代を迎えようとしている.
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