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あとがき
pp.240
発行日 1958年3月1日
Published Date 1958/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201341
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- 文献概要
本号は「診療圏」の特集と致しました。診療圏の研究の機運は数年前から起り始めましたが,これは主として医療機関整備上の問題からその必要を感ぜられたものでした。厚生省は,37年3月に,特定の三県について,広汎に各医療機関の調査を行つたが,本号に特集致しました各論文は,従前からこの問題に関心を寄せられていた東北大島内教室,東大吉武研究室,京都府立医大額田教室において,厚生省の調査資料並びに独自の調査から研究された成績を通じて得られた成果の発表であつて,統計調査部の喜多村氏及び保生園の御園生園長の知見をあわせて掲載することが出来ました。
これらの論文から,いろいろの事が解つて参りました。恐らく各読者の病院の診療園に当てはめて考えられるならば,その法則或は傾向を自覚されることでしょう。即ち,施設の規模或は能力によつてもその診療圏の性能は定まつても来ますが,立地条件が又大きく影響し特に感じることは,大病院であつても,患者の大部分はそう遠くから来るものではないようです。そうなると,一定の地理的限界内に病院が影響するとすれば,病院はその限界を自覚して対策を考えるべきでしよう。即ち,その診療圏内の住民に対して,更に如何なるserviceを提供すべきかということが,その病院の使命として考える問題になるのではないでしようか。
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