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あとがき
石河 晃
pp.94
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207194
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明けましておめでとうございます.コロナ禍では,さまざまな制約が人々の生活に影を落としていましたが,5類感染症に移行した後は少しずつコロナ前の生活が取り戻されつつあります.「梅雨明け宣言」のような「コロナ明け宣言」はありませんが,今年がコロナ明け元年と言えるのではないかと思っています.
さて,日本専門医機構による専門医制度が開始され,医師過剰地域の募集定員に対してシーリングがかけられていることはご承知のとおりです.シーリング対象地域に住みながら皮膚科医を志す研修医や学生にとっては,診療科を変更したり,勤務地域を変えたりしなければならないかもしれません.医師の地域偏在の責任を若い世代だけに負わせているようで大変心苦しい限りです.一方ではCMでおなじみの美容診療施設に2023年度は約200名の医師が就職しているようです.プログラム修了を前提とした専門医資格は働き方のフレキシビリティに制限をかけ,ライフイベントが重なる世代には大きな負荷となっています.大学病院勤務医の給与の低さもこの傾向を助長しているかもしれません.医師の働き方改革を実現するための1つの政策としてシーリングが行われましたが,自由を束縛するだけでは人の心は動きません.専門医の診療行為に対するインセンティブが必要なこと,大学病院勤務医の給与の改善は急務であることは明らかです.
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