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Ⅰ.はじめに
エレクトロニックスの進歩はまことにめざましいものがある.真空管からトランジスタ,IC(集積回路),LSI(大集積回路),超LSI(超大集積回路)へとめまぐるしく変化してきた.機能が増大する一方では,その大きさは縮小の一途をたどり,現在では2~3mm角の小さなチップの中に数万個の電子部品が組み込まれるようになった.
かくて,15年前にはトランク程度の大きさで,10kg以上の重さを持ち,数十万円もしていた電子卓上計算機が,今は名刺サイズで目方100g,しかも当時は含まれなかった時計,ストップウォッチ,アラーム等の機能までもったカード電卓が人々の胸ポケットにおさめられたり,腕にまきつけられたりしている.
それと共に,かつてクーラーのある部屋に厳然と鎮座して,多数の人々を使用してきた数千万円のコンピュータが,機能的には勝るとも劣らぬ程度でありながら,電動タイプと大差ない大きさで,机上で気軽に使えるマイクロ・コンピュータ(以下マイコンと呼ぶ)が,わずか2~30万円程度で入手できるようになった.これと共に,マイコン関係の雑誌も数多く発行され,80年代はマイコン時代とうたいあげている.
こうしたホビー用はともかくとして,1チップマイコンの工業利用は更に激しく,バカチョン・カメラ,ラジオ,テープレコーダ,テレビ,はもちろん,電子レンジ,洗濯機,冷暖房機器,各種自動制御機器,自動車に至るまで,マイコンが組み込まれるようになってきている.
また,一般医療機器にもマイコンが組み込まれるようになり,心電計,超音波CT,自動血液分析装置,保険点数計算器等々枚挙のいとまがないほどである.
かくの如く,世の中はエレクトロニックス化の波が押しよせているのに,リハビリテーション分野では,比較的旧態依然とした機器がまだ主流を占めているように思われる.
本稿においては,その理由を分析してみた上で,現在エレクトロニックスの利用されている各種機器の一部を紹介し,将来の展望について考えてみたい.
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