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特集 理学療法・作業療法と電子工学
環境制御工学
Environmental Control Engineering for the Severely Handicapped
古賀 唯夫
1
Tadao KOGA
1
1九州芸術工科大学芸術工学部工業設計学科
1Kyushu Institute of Design Dept. of Industrial Design.
pp.524-530
発行日 1980年8月15日
Published Date 1980/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102203
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はじめに
1978年初夏から秋にかけて福岡市では雨が降らず,市民は長期間にわたって水なしに近い生活を強いられた.何とかして一滴の雨でも良いから降らそうとして人工降雨の実験がくり返された.また,昨今の省エネルギー時代を迎えてのソーラーエネルギーの活用,潮力発電,地熱発電,海水の淡水化による生活への水利用,都市における冷暖房の集中制御など,これらは全て環境を工学的手段で制御し,人間の生活環境をよりよくしようとする試み(設計)である.理学や工学はこれまで分らなかった事を出来るだけ明確にするために分析的方法をとり,問題をこまかく要素に分解して問題を解決していこうとする.ばらばらな要素をもう一度組合わせていくのが設計であるが,単に組合わせるのではなく,あらゆる組合わせをチェックして最適設計する―ばらばらなものをキチンと整理し,新しい秩序を作りあげる学問が制御工学と言われ.制御工学はSynthesis(総合)の学である1).
この様にみてくると環境制御工学とは,人間生活にかかわる全ての環境(自然環境,人工環境)要素を分析し,再構成し生活のための新しい秩序づけを行うための工学であると言える.しかしながらこれらの環境改善はどの一つをとってみても,一つの学問領域または専門分野の知識・経験のみでは解決しえないものであり,Interdisciprinaly(異専門協業,学際)と言う多くの異った境界領域の学問や専門知識によってはじめて改善されるものであり,環境制御工学が成立するためにはInterdisciprinalyな研究体制が必要となってくる.
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