Japanese
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講座
ファシリテーション・テクニック(その3)
Facilitation Techniques (Part 3)
上田 敏
1
,
鎌倉 矩子
2
Satoshi UEDA
1
,
Noriko KAMAKURA
2
1東大病院リハビリテーション・センター
2東大病院リハビリテーションセンター作業療法室
pp.29-33
発行日 1968年8月9日
Published Date 1968/8/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100132
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Ⅰ.Brunnstromの体系(つづき)
3.上肢訓練のテクニック
すでに「その1」(第2巻・第2号)で述べたように,Brunnstromがあみ出した上肢訓練法は,共同運動現象に着目するところから出発している。四肢にみられるこの現象が,そもそも脊髄レベルで支配される原始的自動的行動(primitive automatic behavior)の1つであり,健常者にも潜在的には残っていて,病的状態下ではじめて顕在化してくるものであることは,Marieら1)が十分な理由をもって述べていることである。
一種の病的現象である共同運動現象を治療に利用することは果たして妥当であろうか?たとえばBobathは定型運動(stereotyped movement)の抑制こそが第1に必要なのだといい,Fayは逆に原始パターン(primitive pattern)の獲得を第1に目指す。これに対してBrunnstromは次のように述べている。“この2つのアプローチの差がそれほど深いものだとは考えられない。回復の初期に反射活動が活発となるのはむしろ正常であり,のちに高位の中枢が働きはじめるようになって,はじめて反射が隠されていくのである。したがって,時と患者と選ぶなら,この2つのテクニックのどちらをも成功裡に利用することができよう”と。
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