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はじめに
リハビリテーション医療を行なう場合に,先ず第一に必要なことは患者の全体的評価である。すなわち内科学的・神経学的診断,身体機能とくに日常生活動作の能力,言語・書字などの伝達能力,心理学的・社会的・職業的状態の評価を行ない,その患者の全体像をつかまないかぎり,正しいリハビリテーションの計画はたてられない。また,でき上がったプログラムを実行に移す際にも,それに関係する人々のチームワークが大切であることはいうまでもない。
七沢病院においては,リハビリテーション訓練のために入院した全患者について,入院のほぼ1週後にリハビリテーション・チームによる評価会議(evaluation conference)を行なっている。会議の構成メンバーは,主治医,看護婦,PT,OT,ST,ソーシャル・ワーカーからなり,院長(兼リハビリテーション部長)の司会で会は進められる。
まず主治医より,患者の主訴・家族歴・既往歴・現病歴・現症・諸検査結果が述べられ,つづいてPTからは筋力検査・関節可動域検査・片麻痺機能検査・歩行分析の結果について,OTからは上肢機能・ADLテストについて,STからはSchuell-笹沼失語症簡易検査,発声発語器官検査,構音検査,コース立方体組み合わせテスト,聴力検査,失行・失認・計算についての検査などの結果が報告され,次いで看護婦から,入院時の状況,病棟での生活行動の状況について,最後にソーシャル・ワーカーから学歴,職業歴,発病時の職業,性格,家族の状況,経済状態,生活環境などについて報告される。
こうして出席者からの発言が終ったところで,患者が入室し,身体機能・歩行状態・会話その他の簡単な再検査が行なわれた上で,患者は退室し,次いで訓練プログラムの検討に入る。ここで主治医からの治療上の注意事項や,各出席者間の情報交換がなされて,最後にPT・OT・STへの処方箋が作成されて1人の患者のカンファランスが終り,次の患者に移ることになる。この間約30分位の時間が費やされる。
それではここに43年6月中のある1日のカンファランスの模様を再現してみよう。
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