コラム 医事法の扉
第1回 「善管注意義務」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学脳神経外科
pp.526
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100194
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いきなり聞きなれない言葉で申し訳ありませんが,「善管注意義務」とは,「善良な管理者の注意義務」の略で,民法644条に「受任者は,委任の本旨に従い,善良な管理者の注意をもって,委任事務を処理する義務を負う」と規定されています.つまり,何か法律行為を頼まれ承諾した人には,「善良」に「管理」しなければならない「注意義務」が発生します.
われわれ医師が,患者さんに対して医療行為を行うときには,通常,診療契約が成立します.診療行為は法律行為ではないので,この契約は,「準委任契約」(民法656条)であるとされています1).準委任契約であっても委任契約と同様に「善管注意義務」が発生するので,結局,医師も「善管注意義務」を負うことになるのです.
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