連載 医事法の扉 内科編・1【新連載】
善管注意義務(1)
福永 篤志
1
,
松川 英彦
2
,
稲葉 一人
3
1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科
2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科
3中京大学法科大学院
pp.128-129
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104992
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近年,医療事故・医療過誤がマスコミなどに数多く取り上げられるようになるにつれ,医療安全の重要性が注目されています.院内のリスクマネージャーを中心に,われわれ医師も医療過誤事例からさまざまな教訓を学ぶ必要があるでしょう.ただ,医学的観点のみからの判断では偏りが生じるおそれがあります.なぜなら,われわれ医師が「常識」と思っていたことでも,世間にとっては「非常識」とみなされてしまうこともあるからです1).たしかに,裁判では医学的のみならず法律的に判断されますから,判例を詳細に検討することは将来の医療過誤防止にきわめて有用であるといえるでしょう.
そこで,本連載では,われわれ医師が判例を検討し将来の医療過誤防止のために必要な法律用語と法的考え方について,法律未修者でも理解できるような平易な文章で解説していきたいと思います.具体的には,まず総論として,憲法,民法,医師法,医療法などの医療行為に関連する法律(総称して医事法といいます)に規定されたさまざまな義務や,明確な規定はなくとも解釈上認められている義務を1つひとつ取り上げ,判例を紹介しながら,法的観点から臨床上重視される点について検討します.同時に,基本的な法律用語も解説していきます.次に各論として,訴訟化しやすい疾患や医療行為について判例を紹介しながら個別に検討していこうと思っています.また,2006年5月から2010年12月まで月刊誌『脳神経外科』(医学書院)に連載された「コラム医事法の扉」から,重要なポイントを適宜引用します.
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