コラム 医事法の扉
第5回 「届出義務」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.951
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101202
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われわれ医師には,「死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは,二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」という届出義務があります(医師法21条).この条文をみると,自殺もしくは他殺による「死体」だけを届け出ればよいように思われますが,日常診療において原因がわからず突然死亡してしまった例や,不適切な医療行為によって死亡してしまった例も含まれるということに注意が必要です.
例えば,都立広尾病院で,ヘパリン生食とヒビテン消毒液を間違えて静脈注射してしまい患者が死亡したケースで,警察に届け出なかったことは同法の「届出義務」違反にあたるとされたのは記憶に新しいことと思います(最判 平成16年4月13日).
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