Japanese
English
連載 英語のツボ
英文論文の書き方(4)
査読者との闘い,現実は自己を知れ
Battle against reviewers,yet know thyself
大坪 宏
1
Hiroshi OTSUBO
1
1Department of Neurophysiology,The Hospital for Sick Children
pp.527-535
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100195
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
なぜこんなに一所懸命書いたのに,査読者は無茶苦茶にけなすのだろう.なぜ査読者は,自分の言っていることをわかろうとしないのだろう.なぜこんな新しいことがわかってもらえないのだろう.なぜこんな重要なことがわからないのだろう.多くの人が雑誌に投稿した自分の論文に対する査読者の意見を読んだ時,まず感じることではないでしょうか.“渡る世間は鬼ばかり(橋田寿賀子)”だと思っていませんか?
果たして,国際政治ジャーナリストの落合信彦は,
“ギリシャの哲学者プラトンは“Know thyself 己自身を知れ”として,人を理解しようという努力自体不毛だしおこがましい.人に理解されたいと思うことは甘えにすぎない.人を理解しようとする前に君が自分自身を理解すること.”
(落合信彦,どしゃぶりの時代魂の磨き方,集英社,2005)
と説いています.われわれは論文を書く段階で,本当に自分の言いたいことを自分自身が理解できているのでしょうか.今回は査読者という鏡を通して,査読者との目に見えない(時によく知っている人のこともありますが)対話から,自分の論文の書き方を考え,そして自分が査読側にたった時,査読者としてのあるべき態度についてみても考えてみたいと思います.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.