コラム:医事法の扉
第18回 「死因説明義務」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.1025
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100633
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これまでに,第2回「説明義務」と第15回「家族への説明義務」で,説明義務に関してとりあげてきましたが,今回は,患者が治療中,または治療後に死亡した場合に,医師は死因についての説明義務を負うのかどうかについて検討します.
われわれ医師には,診療契約(民法656条)に基づき,善管注意義務(644条)と報告義務(645条)が課せられています.645条は,「受任者は,委任者の請求があるときは,いつでも委任事務の処理の状況を報告し,委任が終了した後は,遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない」と規定していますので,医師は,患者から請求があれば,原則として,いつでも「結果」を報告しなければなりません.患者本人に説明できないようなときには,診療契約上,家族または遺族が説明の相手方になるとされています(東京高裁平成16年9月30日判決).
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