コラム 医事法の扉
第8回 「問診義務」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.1239
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101205
- 有料閲覧
- 文献概要
「問診」は,医師法には規定されていませんが,診療契約(「準委任」民法656条)に基づき医師に課せられた義務の1つであるとされています.とはいうものの,われわれが普段,何気なくこなしている業務であり,「問診が義務である」といった堅苦しいイメージはないように思われます.
内科的な日常診療では,「今日はどうされましたか」といった問いかけから始まり,患者側の疾病に関する情報を聞き出した後,検査,診断,治療へと移行していくものです.「問診」がないと診療は始まりませんが,われわれ脳神経外科の救急現場では,患者自身から直接情報を聞き出すことはほとんど不可能であり,家族等の周囲の人間から情報を得るしかありません.たとえ「問診」が不十分でも,目の前の患者さんの客観的な臨床データから,ただちに診断し治療を開始しなければなりません.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.