Japanese
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特集 第9回脳のシンポジウム
主題:神経情報処理機構
神経インパルス系列と情報処理
Information processing of neural impulse sequences
中浜 博
1
,
山本 光璋
1
,
石井 直宏
1
Hiroshi NAKAHAMA
1
,
Mitsuaki YAMAMOTO
1
,
Naohiro ISHII
1
1東北大学医学部脳疾患研究施設
1Institute of Brain Diseases, Tohoku University School of Medicine
pp.1084-1089
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903577
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I.はじめに
細胞内導出法が開発される以前においては,神経インパルス系列を観察し,また時にはその統計処理をほどこし,単一ニューロンのインパルス発生機序や性質をうかがい知ろうという考え方は,ごく自然であった。わが国ではすでに1950年に勝木ら1)がその先駆的な研究を行なっている。しかし神経インパルスは脳波のような低周波帯域の現象とは異なり,数ミリ秒の時間間隔を問題にする高速度現象であるため,計測やデータ処理の面で困難な点が多く,その後の研究の進展は遅々としてはかどらなかった。また別の理由として,刺激と反応との関係を求めていくという生理学の常套手段の立場からは,自発発射などの神経インパルス系列といったものは,あまり興味ある存在とは見なされなかったということもあるだろう。さらに細胞内導出法の発展に伴い,大方の関心事はそちらの方に向かったという事情もあるであろう。
しかし1960年代に入るとともに,この方面の研究は主として米国において進展を見せはじめ2),インターバルヒストグラムや刺激後ヒストグラムなど,神経イソパルス系列の基本的分析法が知られるようになった。これは電子計算機技術のたまものであるが,さらに今日までの10年間に電子計算機を用いた研究は急激に増加し,それに伴った分析法も新しいものが次々と取り入れられるようになった。
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