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あとがき
酒井 邦嘉
pp.642
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201333
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『異なり記念日』(医学書院)の著者である写真家の齋藤陽道さんとの対談は,本誌の5月号に掲載された。そこでは,ろう者の世界や聴覚障害についての意見交換を中心にまとめたが,実は途中で写真談義をしていたので,ここにその一部を紹介しよう。
昨今のデジタルカメラは,レンズやセンサーの解像度が飛躍的に高くなり,より精細に見える画像が当たり前になりつつある。それは「真(まこと)を写す」という写真の成り行きなのだろうが,それによって必ずしも真実がよく見えるようになるとは限らない。陽道さんはデジタル一眼レフも使うが,「結果的に作品として発表したくなるのは,フィルムで撮った写真が多いんですよ。限りあるフィルムのほうが,不思議とよい作品を生むということを感じています」と語っていた。スマートフォンやデジタルカメラでは,手軽である反面,なんとなく撮ってしまいがちだが,「一球入魂」と言うように,ある瞬間に集中して被写体へ意識を向けることがよい結果を生むのだろう。
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