--------------------
あとがき
酒井 邦嘉
pp.1086
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101304
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
いわゆる運動の類いには無縁の生活を送ってきた私だが,最近ただ1つ,のめり込んでしまったスポーツがある。それはロードバイクという自転車でのサイクリングだ。実際にオホーツク沿岸212kmのロングライドに参加したところ,実に楽しくて,つらいと思うところがまったくなかったのである。このように,どんな苦労も楽しく思えてしまえるような心の持ち方は,研究などの仕事に共通して必要な精神力なのかもしれない。サイクリングのお陰で,生まれて初めてスポーツという自己鍛錬の喜びを知ったのだから,我ながら人は変われば変わるものである。
ヨーロッパでサッカーに次ぐ人気のスポーツといえば,自転車のロードレースであろう。中でも,3週間におよぶツール・ド・フランスは,名実ともに世界最高峰のイベントであり,今年で99回目を迎えた。日本人ではただ1人,新城幸也選手が3度目のツール完走を果たし,その力走ぶりは特に印象的であった。自転車のロードレースでは,各チーム中の1人のエースを勝たせるために残りのメンバーが献身的にアシストする。そして,他チームで起きたパンクやメカトラブルに乗じて勝ちに行くのは紳士協定に反する,といった暗黙の美学もあって面白い。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.