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あとがき
森 啓
pp.572
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201045
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非アルツハイマー病を知る
本号は,非アルツハイマー型認知症の病理学特集である。認知症は多くの疾患群であることは理解されているし,大まかな区別も普及してきたと言えるが,なお正確な診断という点では不案内な側面が拭えない。認知症の大部分がアルツハイマー病であることから,同じことを繰り返す,記憶が曖昧ということで,アルツハイマー病と診断することでよしとする「功罪」を考えたい。
認知症は単に患者が多いと言うだけではなく,生理的物忘れから病的な病気まで実にバラエティに富む。十把一絡げでアルツハイマー病とはならないことは言を俟たないが,では正しい鑑別診断がどうなのか。十分なバイオマーカーや各種の脳画像検査に簡単に頼ることも実臨床の場では必ずしも現実的ではない。やはり臨床現場での精査が診療の原点であり,重要であることに変わりはない。本特集は,認知症診療のスキルアップをゴールとして,アルツハイマー病の外堀とも言える非アルツハイマー病を埋めることで,本丸であるアルツハイマー病および認知症全体への理解の完成を目標としている。
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