--------------------
あとがき
寺本 明
pp.96
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100068
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
新年おめでとうございます。
本巻から“脳と神経”と“神経研究の進歩”はついに統合することになった。前者は1948年,後者は1956年の創刊であり,いずれもわが国の神経科学の発展と共に歩んできた雑誌である。“脳及神経”の創刊号の編集後記に当時の清水健太郎教授は,“醫學のうち日本で最も後れている一部門,脳神経外科といふものを,どうにかして先進国の水準にまで高めようと懸命の努力をして来た我々の念願の一つが叶って,ここに「専門雑誌の発行」といふことが漸く達成された。”と興奮冷めやらぬ論調で記されている。
さて,装いを新たにした本号を見てみると,辻 省次編集委員の司会の下に現在わが国で活躍中の神経科学各分野のエキスパート7名の座談会“脳科学,神経科学の今後の方向を探る”に多くのページが割かれている。これを読むと,現在それぞれの領域ではどのような研究が進捗しているのか,近未来は何が達成されそうかがよくわかり大変興味深い。また研究面だけでなくそれを阻害する因子についても熱く議論されている。とにかくこれまでの先人の努力があってわが国の神経科学は目下“先進国の水準”に達していることは間違いなさそうであるが,今後の研究・臨床の担い手のあり方が大いに懸念されるところである。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.