特集 「息苦しい」が主訴の時
One more JIM
pp.766-767
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102965
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Q:モルヒネの全身投与や顔面への送風を行うことで,呼吸困難が緩和されるメカニズムについて教えてください.
A:モルヒネは大脳皮質運動野から呼吸筋への自発的な神経出力を抑制し,同時に呼吸感覚中枢へ伝達される随伴発射を抑制することで呼吸困難を緩和すると考えられている.また,呼吸感覚中枢自体の活性化を抑制している可能性も示唆されている.モルヒネは空気飢餓感は軽減させるが,呼吸労作感は軽減させないことが報告されている.日本緩和医療学会による『がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン2011』では,モルヒネの全身投与は呼吸困難を緩和させる根拠があり,「行うとよいだろう」という表現で推奨されている.顔面への送風は顔面に分布する三叉神経を刺激すると同時に,上気道粘膜に分布する気流受容体を刺激することで呼吸困難を緩和していると考えられており,上記ガイドラインでも「有効である可能性がある」と記載されている.
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