特集 外来診療実習・研修の心得
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竹村 洋典
,
石川 晋介
,
新保 卓郎
,
吉村 学
,
北西 史直
,
伊藤 澄信
pp.156-157
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903465
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Q1 忙しい外来診療でも,全身をくまなく身 体診察したほうがよいのでしょうか.
A 未診断でさまざまな疾患を持つ患者が来院する外来では,全身をくまなく診察したほうが診断に至る可能性が高い.しかし,そのような身体診察をすべての患者に行う時間は,忙しい外来にはない.たとえば,ある程度確率の高い鑑別診断をいくつか選んで,その疾患のpertinent positiveを検出する診察と,pertinent negativeを検出する診察をすべてあげ,それらの項目を主とした身体診察をする.疾患を診断できなければ,再度鑑別診断を上げてその身体診察を繰り返していく。このサイクルで身体診察を行うと,患者ごとに全身を診察する場合に比べて,時間をとられないことが多い.また,全体として特異度が高くなり,もし陽性所見があったらその疾患である可能性が高いであろう.しかし,この身体診察は感度の点で劣り,フォーカスをしぼった身体診察をしていくうちに,その疾患を見落とす可能性が出てくる.とくに臨床経験の浅い医学生や初級研修医は,このような疾患の見落とし以外に,医療面接の段階で鑑別診断にあげるべき疾患を取りこぼしている可能性がある.だから,感度を上げるため全身を身体診察したほうが安全であろう.
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