連載 リハビリテーション関連用語
NBM;Narrative Based Medicine
谷中 誠
1
1鈴鹿医療科学大学保健衛生学部理学療法学科
キーワード:
NBM
,
EBM
Keyword:
NBM
,
EBM
pp.196-197
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100475
- 有料閲覧
- 文献概要
NBMとは
NBM(Narrative Based Medicine)とは,「物語」(narrative)に基づく(besed)医療(medicine)という意味である.NBMは,1998年にGreenhalgh T,Hurwitz Bらの編集した『Narrtive Based Medicine:Dialogue and Discourse in Clinical Practice』で提唱されたのが最初であるとされる.患者を「物語」の語り手,主体として尊重し,患者自身の役割を重視する医療であり,対話を治療の重要な一部であるとみなす.narrativeとは,英語で,物語を意味するが,一般に外来語としてのニュアンスを日本語の物語と区別するためか,ナラティブとカタカナ表記されることが多い.ここでは,同様な理由で,「物語」としても表記する.ナラティブの視点は,理論や仮説や判断などを全て「一つの物語」として理解するというものである.そして,「唯一の正しい物語」が存在するとは考えず,その時,その時の事情に応じて「より適切な物語」を選択すればよいと考える.現代のナラティブアプローチの考え方では,ナラティブは,私達が生活している社会や文化を背景として,相互交流的な語りのなかから恣意的に作り出される(構成,構築される)と考える.このような立場を社会構成主義あるいは構築主義(social constructionism)と呼ぶ.医療においては,治療関係のなかで,医療従事者と患者が患者にとってより望ましい新しい物語の共同執筆者となることこそが医療の本質であると考えるものである.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.