特集 医療における“物語”―Narrative-Based Medicine(NBM)
[Narrative-Based Medicineの実践例]
看護師の立場から
和田 恵美子
1
1大阪府立看護大学看護学部人・環境支援看護学
キーワード:
闘病記
,
自己の物語
,
キャリア開発ラダー
Keyword:
闘病記
,
自己の物語
,
キャリア開発ラダー
pp.860-863
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100715
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
看護学生時代,また看護師になった後も,入院患者が病棟で闘病の記録を書いているのをよく目にしていた.もちろん,看護学生や看護師の目に触れていたものはごく一部ではあっただろうが,見せていただいた数人の方の語りには,私たち医療者のイメージを覆すような強さがあった.
このような臨床現場での体験のなかで,「彼らは,私たちがナースステーションでとらえている患者像と同一人物だろうか」という違和感をもつようになった.医療者がとらえる患者の姿は,彼らの語りのなかには存在しないような気がしていた.看護師は,書き手である彼らが病者として病室に存在する間,その時をともに過ごしているが,彼らがその時には話さないことを,文字で私たち医療者あるいは世間に伝えることがあった.彼らは文字で何を伝えようとするのだろうか,と考えてきた.
このような体験や研究結果から,看護師としてのnarrative-based medicine(NBM)の実践例をまとめる.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.