特集 やる気を引き出す糖尿病診療 10のコツ
Master Lecture
糖尿病とNarrative Based Medicine
若林 英樹
1
,
阿部 恵子
1
,
佐藤 寿一
1
1名古屋大学 総合診療部
pp.654-658
発行日 2004年11月15日
Published Date 2004/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100225
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患者のnarrativeの中にある問題に患者と医療スタッフが気づき,患者がnarrativeの再構築を行うのを援助する
近年,生物科学的な医療のみならず,患者の感情,生活,社会を視野に入れた全人的医療に対するニーズが高まってきている中で,医療の世界にnarrative療法を取り入れることが注目されてきている.
narrative療法とは本来心理療法の一つであり,人間関係や個人の問題の改善を試みる際に,クライエントの話(物語)や言語を重視し治療的な質問を行うことによって,問題に満ちた物語の存在をクライエント自身に気づかせ,クライエントが今後の思考や行動をより好ましい方向に再構築するのを助けるものである1).
糖尿病診療におけるNBM(narrative based medicine)を理解するためには,Box 1に示すようにdiseaseとillnessの区別を理解する必要がある.narrative的なアプローチでは,diseaseに関わる情報を集めるだけではなく,illnessについての話を語ってもらう.それは問題に満ちた物語であることが多いが,評価や訂正を加えることなく語られるのがnarrativeである.
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