診断推論研究の最前線[11]
診断推論能力を伸ばすカリキュラム
大西 弘高
1
1東京大学医学教育国際協力研究センター
pp.170-173
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100242
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診断推論をどのように伸ばせばいいかを考えるうえで,ここまでの連載で議論してきた認知心理学的知見は有用ですが,それ以外にも発達心理学や成人学習の考え方が役に立つでしょう.ここでは,Caseのやり取りがどういう裏付けでなされているかについて分析を加えながら述べてみたいと思います.
発達心理学の観点
一般的な原理が学習を最適化するために有用であると思われます.発達の連続性やジャーシルドの教育原理2)から考えると,学習による発達は常に先行経験などに裏付けられて段階的に生じるものであり,ある日突然成し遂げられるものではありません.それまでわかっていなかったことが突然理解できたように思えても,それは必ず何らかの流れを持っているものです.しかし,ある程度慣れが生じると,徐々に飽きが来て動機づけは低減し,少し学習法や場を変えなければ動機づけが保てなくなります.
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