診断推論研究の最前線[4]
臨床経験と診断推論能力
大西 弘高
1
1東京大学医学教育国際協力研究センター
pp.604-608
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100121
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【Case】
小野さんは,上越大医学部の6年生.診療所を1人で切り盛りしてきたお父さんと同じように,地域に密着した医療を実現したいと意欲に燃えています.ただ,一度見学した父の診断推論過程は初診患者さんに対して「決めうち」しているようにみえ,今ひとつ納得がいきませんでした.今日も,土曜午前の忙しい外来を見学することにしました.注目したのは,53歳の女性,石原さんとのやり取りでした.
石原 昨日の夜中から,強い腹痛に襲われました.胃の少し右あたりで,ぐーっという感じの強い痛みでした.こんなことは初めてです.少し熱っぽい感じもします.
小野(父) そうか,そりゃ大変だったねえ(看護師からのメモで体温38.1℃の情報にも目をやる).ちょっと眼をみせて.う~ん,ちょっと黄疸があるようだね.
石原 えっ,黄疸.何の病気なんでしょう.
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