診断推論研究の最前線[7]
症例プレゼンテーションによる教育―診断推論能力をどう伸ばすか
大西 弘高
1
1東京大学医学教育国際協力研究センター
pp.852-855
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100180
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米国式の医学教育現場に触れた時,大多数の人が感服するのはカンファレンスにおける症例プレゼンテーションの違いではないでしょうか.テンポがよく,必要最低限の情報が厳選され,聴衆はツボを押さえた質問をし,指導医が聴衆を唸らせるような種明かしをする…,そんな様子が描かれることが多いように思います1, 2).
症例プレゼンテーションについて,日米でそれぞれの平均をとって比較してみるとどうでしょうか.個人的には,見学できた米国の臨床指導現場はせいぜい10足らず,日本でも10程度しか指導現場を見たことはありません.日本の中でも非常に優れた研修施設では,米国の並の施設よりは優れた症例プレゼンテーションをしているようには思いますが,無理を承知で比較すると,やはり米国に軍配が上がると思います.以前より多くの先人たちが指摘してきたのは,臨床推論が米国においてよりしっかりしているという点です3).なぜ,そのような違いが生じるのでしょうか.
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