教育方法の再検討・1
個々の能力を伸ばすための教育方法
久保田 信之
1,2,3
1学習院女子短期大学
2学習院大学
3佼成高等看護学院
pp.13-19
発行日 1975年1月25日
Published Date 1975/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906847
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序
未整理な教育方法
個々の能力をいかにすれば伸ばしうるか,といった問いは,教育に携わるすべての者にとって,一時も忘れることのできない切実な,しかも困難な課題であるといってよかろう.この古くて新しい課題,あるいは常に追い求められている永遠の課題に,真っ向から立ち向かい,それに1つの解答を与えてみようなどとは到底思ってもいないが,今回あえてこの難問に挑戦してみようとしたのは,多少なりともこの永遠の課題が整理でき,接近する緒でも見つけられればと願う気持ちが先走ったためであり,この課題から逃れようとすることが,教育を研究対象とする老にとっては許されない行為であるとの自負心が,おくめんもなく強まったからなのである.
あらゆる教育の場にあって,その実践に直接参与している者ならだれでも,この難問から逃れられ,ないことを日々知らされていよう.‘どうしたらこの子どもの能力を伸ばせるのか’‘意欲を高め,学習効果をあげるにはどうしたらよいのか’……こういった具体的な問いは,教育行政やイデオロギーから派生する大きな問題以上に,切実な,素朴な悩みであるはずである.
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