Japanese
English
症例報告
左小指尖部に有痛性潰瘍を呈した肺癌手指転移の1例
A case of painful digital ulcer as an initial presentation of acrometastasis of lung adenocarcinoma
梶間 諒
1
,
小林 研太
1
,
種瀬 啓士
1
,
田村 佳奈
1
,
平井 郁子
1
,
安田 浩之
2
,
野村 彩乃
1
Ryo KAJIMA
1
,
Kenta KOBAYASHI
1
,
Keiji TANESE
1
,
Kana TAMURA
1
,
Ikuko HIRAI
1
,
Hiroyuki YASUDA
2
,
Ayano NOMURA
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科
2慶應義塾大学医学部呼吸器内科
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Respiratory Medicine, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
手指転移
,
指尖部潰瘍
,
肺癌
Keyword:
手指転移
,
指尖部潰瘍
,
肺癌
pp.755-760
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207397
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要約 73歳,女性.肺腺癌Stage Ⅳ(多発骨転移,脳転移)に対して化学療法中,当科受診2週間前に左小指尖部の有痛性潰瘍が出現した.虚血性潰瘍や外傷性潰瘍の二次感染を疑い,抗菌薬内服,外用加療を行ったが潰瘍は拡大し,周囲の腫脹・発赤が出現した.単純X線検査で末節骨先端の透亮像を認め,皮膚病理組織では真皮にTTF-1陽性の類円形異型細胞が密に浸潤し,一部で管腔様構造を形成していた.肺腺癌の手指転移と診断し,疼痛緩和目的に電子線8Gy単回照射を行った.その後原病進行のため化学療法を変更されたが奏効せず,手指潰瘍出現6か月後に永眠した.悪性腫瘍の手指転移は稀であり,原発巣は肺癌が多い.臨床的には腫脹や結節性病変を呈することが多いとされるが,指尖部では潰瘍が先行することがあり,強い疼痛を伴う指尖部潰瘍を認めた際には悪性腫瘍の転移を鑑別に挙げ,積極的に皮膚生検や単純X線検査を行うべきと考えた.
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