Japanese
English
症例報告
敗血症性肺塞栓症を伴った口唇部壊死性軟部組織感染症の1例
A case of necrotizing soft tissue infection of the lip with septic pulmonary embolism
松林 俊佑
1
,
宮崎 安洋
1
Shunsuke MATSUBAYASHI
1
,
Yasuhiro MIYAZAKI
1
1独立行政法人国立病院機構災害医療センター皮膚科
1Department of Dermatology, NHO Disaster Medical Center, Tachikawa, Japan
キーワード:
敗血症性肺塞栓症
,
壊死性軟部組織感染症
,
メチシリン感受性黄色ブドウ球菌
Keyword:
敗血症性肺塞栓症
,
壊死性軟部組織感染症
,
メチシリン感受性黄色ブドウ球菌
pp.761-766
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207398
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要約 36歳,男性.既往歴なし.入院3日前から左口角にびらんが出現し,その後下口唇優位の口唇腫脹と全身倦怠感が出現した.意識障害を認め,当院に救急搬送された.初診時下口唇全面と上口唇左側に黒色壊死を認め,下顎から頸部にかけて点状の紫斑を伴う腫脹を認めた.胸部CTでは両肺野に空洞性結節,浸潤影が多発していた.搬送後敗血症性ショックを呈し,抗菌薬加療等が行われた.血液培養・下顎の創部培養ではメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された.他に感染源なく,口唇部壊死性軟部組織感染症に伴う敗血症性ショック,敗血症性肺塞栓症と考えられた.入院6日目に瘻孔部を切開した後,全身状態は改善し,肺野の結節影は縮小した.口唇は壊死組織をデブリドマンした.免疫不全のない若年者のメチシリン感受性黄色ブドウ球菌感染症でも急激な経過で敗血症性肺塞栓症を合併する重篤な感染症となる可能性があり,注意が必要である.
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